老人ホームでリハビリテーションを行う場合、基本的には訪問リハビリテーションという形をとります。老人ホームで受けられるリハビリテーションは、医療機関に通院できない方にとって、機能回復や日常生活の自立を支援する上で非常に重要なサービスです。しかし、医療保険と介護保険で、利用できる回数や内容、制限が異なるため、ご自身の状況に合わせたサービスを選定するには、それぞれの制度を理解することが大切です。
医療保険における訪問リハビリテーション
1. 対象者
- 主に病気やケガで寝たきりや歩行が困難な方
- 医師からリハビリが必要と診断された方(難病やがん末期等)
2. 回数と内容
- 回数: 原則、1日1回、週3回まで
- ただし、医師の指示により、例外的に回数が増える場合もあります。
- 内容:
- 医師の指示に基づいた、個々の状態に合わせたリハビリ
- 例:
- 運動療法(関節の可動域訓練、筋力強化など)
- 日常生活動作訓練(食事、着替え、歩行など)
- 疼痛緩和(リラクゼーション)
3. 制限
- 医師の指示がなければ利用できない
- 医療保険の対象となる疾患やケガに限られる
介護保険における訪問リハビリテーション
1. 対象者
- 要介護認定を受けている方(要支援1〜要介護5まで)
- 日常生活に支障がある方
2. 回数と内容
- 回数: 週120分まで(1回20分以上)
- 内容:
- ケアプランに基づいた、日常生活の自立を目的としたリハビリ
- 例:
- 運動療法
- 日常生活動作訓練
- 認知機能訓練
- 自立支援のための環境整備
3. 制限
- ケアプランに基づいたサービスであり、ケアマネジャーとの相談が必要
- 介護保険の給付範囲内でのサービスとなる
医療保険と介護保険の比較表
どちらの保険を利用できるか
どちらの保険を利用できるかは、ご自身の状態や、医師の診断、介護認定の結果によって異なります。
- 医療保険: 病気やケガが原因でリハビリが必要な場合
- 介護保険: 日常生活に支障があり、要介護認定を受けている場合
老人ホームでリハビリテーションを行うには、介護保険の単位数により変動します。医療保険でのリハビリテーションは条件により変動します。
訪問リハビリテーションを受ける際の注意点
- 医師やケアマネジャーに相談する: どの保険を利用できるか、どのようなリハビリが必要かなど、専門家に相談することが大切です。
- サービス内容を確認する: どの事業所でどの職種(PT 、OT、ST)が行うのか、どのようなリハビリを行っているか、事前に確認しましょう。
- 費用について確認する: 自己負担額や、保険でカバーされない部分があるかなどを確認しましょう。
まとめ
老人ホームで行う訪問リハビリテーションは、居室をご自宅としてとらえ、安心してリハビリを受けることができるサービスです。しかし、医療保険と介護保険で利用できる内容や回数が異なるため、ご自身の状況に合わせて最適なサービスを選ぶことが重要です。また、施設状況、介護保険であれば、単位数の限度により、自費でのサービスとなるケースがあります。施設によっては、自費サービスでリハビリのプランを選択することができたり、またリハビリ特化型デイサービスへ通うなどの選択肢もあります。ご入居を検討される方の状態により最善のリハビリを受けられる施設を検討すると良いでしょう。