老人の身体機能低下、どう防ぐ？施設でのリハビリ徹底解説

理学療法士などが老人ホームに訪問し、個別のリハビリを提供します。 介護保険を利用し行うこともあれば、条件によっては医療保険での実施も可能となります。居室環境でのリハビリは、本人にとって心理的な負担が少なく、生活レベルに合わせた介入をすることができます。また、お身体の状態に応じて、居室の環境設定等も老人ホームのスタッフと一緒に検討し安全に過ごすことができる環境作りも支援することができます。

生活リハビリとは 、日常生活の動作をリハビリと捉え、自立した生活を支援する介護の考え方です。日々、ご本人様が生活する上で行う活動をリハビリとして、介護者がご本人様の残存機能を落とさないように関わることを推奨しています。介護の現場では、過介助が原因でご本人様が本来できることを介護者が行ってしまうことが多くあります。ご本人様ができることを積極的に自身で行ってもらう関わり方を推奨している施設が徐々に増えてきています。

主に病気やケガの治療を目的としたリハビリ。医師の指示に基づき、医療機関で実施。回数や内容は、病状によって異なります。

日常生活の自立を支援するためのリハビリ。訪問リハビリや通所リハビリなど、様々なサービスがある。要介護度や認定を受けているサービスによって、利用できる回数が決まる。

個別で行うリハビリではなく、集団でのリハビリが中心となる場合が多いです。ご本人様のペースで進めにくい可能性があります。集団リハビリでは、体操やレクリエーションを通じて、廃用予防や認知機能低下を目的に実施しています。施設様により、実施方法は様々であり、お身体の状態に合わせて内容や参加頻度を調整して行っています。

理学療法士や作業療法士が常駐している施設もあるが、常駐している施設様は多くはありません。機能訓練指導員の配置が決まっている施設（介護付き住宅型有料老人ホーム）もあり、機能訓練指導員とは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師などの資格を保有する者となっており、リハビリ職のみではありません。老人ホームの現場では、看護師、柔道整復師が機能訓練指導員として配置されているケースが多いです。

食事、排泄動作、着替え、歩行など、日常生活に必要な動作の訓練、指導、環境設定を行います。ご本人様の身体機能をもとに、自立を支援し、QOLの向上を目指す。日常生活動作は、ご本人様のプライバシーにも関わる排泄などがあり、一人でできるようになりたいと思われる方が多いです。施設では、トイレ介助をする際に、一人で立っている時はふらつきは無いか、どの程度立っていることができるかなどを評価し、過介助にならないようにしています。ご本人様が出来る事を支援、見守ることで、精神的にも安定を促していくことができます。

レクリエーションやゲームなどを通じて、脳の活性化を図ることができます。レクリエーションも季節や時系列に合わせた内容を実施することで、施設の中にいても季節感を感じることができる取り組みを多くの施設様が実施しています。レクリエーションについて、「遊びみたい」「幼稚すぎる」などというお声を頂きます。レクリエーションの重要な要素として「楽しむ」ということがあり、これは精神面へ大きく影響していきます。レクリエーションを通じて、身体を動かすこと、入居者様同士の関わりを増やすことなど様々な意味が込められて実施しています。気になる施設様がありましたら、ご見学の時にレクリエーションも見学することが出来るとよりイメージがしやすいかもしれません。

運動不足：お部屋で過ごすことが増えるため、運動不足になりやすい。介助者の過介助も必要の要因となるでしょう。自宅での生活に比べて、生活上動く距離も減ることが多いため、筋力低下などを引き起こす原因となります。
社会との関わりが少ない：施設によっては、他の入居者様との関わりが少なく、1日を通して人と関わることが少なくなることがあります。また、施設によりレクリエーションを行っていない施設もあるため、他者との関わりが少ないことがあります。
病気やケガ：高齢のため、病気についてはお身体の状態により様々です。ケガとなると、やはり1番は転倒があります。施設では、最大限転倒予防に努めていますが、100％防ぐことは困難です。転倒すると、多い骨折は背骨、手首、大腿骨が挙げられます。
栄養不足：お身体の状態、精神面の状態により、お食事量が変化する場合があります。食事量の低下は直接、お身体に影響がでます。筋力低下や体重減少は様々なリスクを高めてしまいます。

リハビリの積極的な利用：日々のレクリエーションや介護保険、医療保険を活用した専門職のリハビリを定期的に実施することも大切です。施設によっては、デイサービスなどに通うことも出来るため、活用することも有効な手段といえます。また、ご本人様の状態に合わせた環境設定（手すりを設置する、ご本人様の動線を整える）も大切です。
栄養バランスの取れた食事：施設では基本的に栄養士が考えた食事が提供されます。中には、食事摂取に問題があり、栄養補助食品と呼ばれるもので栄養をカバーすることがあります。食事摂取がうまく進まない方については、関連の医療機関、施設のスタッフに相談すると解決の糸口が見つかるかもしれません。
規則正しい生活：生活リズムは人により様々ですが、認知症や様々な病気の影響で生活リズムが乱れてしまうことがあります。施設では、規則正しい生活が送れるよう、1日のスケジュールが概ね決まっており、リズムを整えられるよう関わってくださいます。夜眠れない、夜間はトイレに多く行くなど悩みがある方は、施設にくる往診の先生などに薬の調整をしてもらうなど相談するのが良いでしょう。
社会参加の機会の提供：施設では、個人の時間が長くなる傾向にあります。レクリエーションやイベントへの参加などを推奨しています。大人数集まるところが苦手な方は、入居者様で気の合う方などを見つけ、「話す」コミュニケーションを取れるような施策をすることが大切になります。